2025年6月に水原一平氏の収監が正式に決定したというニュースが、再びメジャーリーグ(MLB)関係者のスポーツベッティングに対する関心を呼び起こしています。大谷翔平選手の通訳として知られた水原氏は不正に資金を流用し違法なスポーツ賭博に関与していたとされ、MLBとその周辺における賭博行為のリスクを改めて浮き彫りにしました。
アメリカでは州によって賭博に関する法律が異なるため「合法の州であれば問題ないのでは?」という声もありますが、メジャーリーグ関係者には独自の厳格なルールが定められているため、そのような疑問に単純な答えはありません。
ギャンブルが合法な州で合法的に運営されている出金が早いカジノで、例えばスロットやブラックジャックに賭けるだけなら、MLB関係者でも問題なく行うことができるのです。
MLBによるベッティングに関する規定
MLBでは選手はもちろん、監督・審判員・球団職員・通訳・クラブハウススタッフなど、あらゆる関係者に対して明確なベッティング禁止規定を設けています。特に重要なのは「野球に関する賭博の全面禁止」と「その他のスポーツに関する賭博の制限」です。MLB規則第21条では現役選手や職員が野球に賭けた場合、その対象が自チームであれば永久追放、それ以外のチームであっても1年間の出場停止という厳しい罰則が科されます。これはプロとしての信頼性を守るための重要なルールとされています。
また、たとえ合法な州であってもベッティングの相手が違法業者である場合、あるいはクレジットを用いて(つまり後払いで)賭博を行っていた場合には違法行為と見なされ、連邦法や州法の対象になります。水原氏の件では彼が違法なブックメーカーを通じて賭博を行い、大谷選手の資金を無断で使用していたことが問題となりました。これはMLBルール違反にとどまらず、刑事罰の対象にもなっています。
アメリカの賭博法とその多様性
アメリカ合衆国における賭博の合法性は州によって大きく異なります。2018年に最高裁判所がスポーツ賭博に関する連邦禁止法を違憲と判断して以降、各州が独自にスポーツベッティングを合法化する道を選び始めました。例えばニュージャージー州やネバダ州ではオンライン・オフライン問わずスポーツベットが合法とされ、州のライセンスを受けた業者を通じて行うことができます。一方でカリフォルニア州やテキサス州などでは未だ合法化が進んでおらず、住民は正規のルートでベッティングを行うことができません。
このように州ごとの法律の違いがあるにもかかわらず、MLBに属する関係者は全国一律でMLBのルールに従う必要があります。つまり、ある州で賭博が合法であったとしても、MLBの規定に違反する行為は許されないのです。特に球団やリーグの関係者が賭博に関わることは、リーグの公正性や透明性を損なうリスクを孕んでいます。
まとめ
水原一平氏の事件は、スポーツベッティングとプロスポーツ界の関係に大きな一石を投じました。たとえ賭博が合法な州で行われたとしても、MLB関係者には特別なルールと倫理基準が適用されます。アメリカの法制度の複雑さに加え、リーグの信頼性を守るための独自規則が存在することを踏まえ、今後もベッティング行為への慎重な対応が求められます。スポーツと賭博の線引きが曖昧になりがちな時代だからこそ、明確なガイドラインと徹底した管理が必要とされています。


